我が家には自閉スペクトラム症(ASD)と学習障害(LD)を持つ息子がいます。
その息子は、小学3年生まで普通学級と通級指導教室を行ったり来たりしてはいたものの学習の差が埋められず、4年生から特別支援学級に転籍しました。
特別支援学級に転籍して2週間程経過しましたが、今回の記事では特別支援学級の学習内容と学校生活の変化、転籍したメリットデメリットを紹介したいと思います。
特別支援学級への転籍で悩んでいる御家庭に少しでも参考になって頂けたら幸いです。
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目次
特別支援教育について
文部科学省によると特別支援教育とは、
障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである。
とされておりますが、学習障害(LD)、多動性症候群(ADHD)、高機能自閉症により学習や生活についての特別な支援を必要とする児童生徒に対する教育的対応については、従来の特殊教育は必ずしも十分に対応できていない状況にあります。
特別支援教育の現状
文部科学省の新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第1回) 配付資料「日本の特別支援教育の状況について」によると、
平成29年5月1日時点の義務教育段階の全児童生徒数 は989万人のうち、
特別支援学校の割合0.7%(約7万2千人)→平成19年比で1.2倍増
特別支援学級の割合2.4%(約23万6千人)→平成19年比で2.1倍増
通級学級の割合1.1%(10万9千人)→平成19年比で2.4倍増
全体としては4.2%(約41万7千人)の割合と増加の傾向にあります。
昔に比べ、発達障害への認知が進んで増加する傾向になっていると思われます。
発達障害(LD・ADHD・高機能自閉症等)の可能性のある児童生徒:6.5%程度※の在籍率
この数値は、平成24年に文部科学省が行った調査において、学級担任を含む複数の教員により判断された回答に基づくものであり、医師の診断によるものでない。
1クラス約30人とすると、その中に1,2人位は発達障害の可能性のある生徒がいる計算になります。
息子のクラスにも特別支援学級に通う生徒はいませんでしたが、1年生から通級学級に通っていた生徒が息子以外に3人いました。
特別支援学級とは
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
【対象障害種】
知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症・情緒障害者
今でこそ理解できますが、私の小学校中学校時代も物や花の名前で○○学級というクラスがあったのを記憶しています。
特別支援学級までの経緯と学習方法について
息子の場合は小学1年生の9月頃から3年生まで通級学級へ通っていました。
しかし、学習レベルの差が埋められず、学校側の配慮で通級学級への頻度を増やしたものの、3年生中期は授業中ひたすら自由帳やプリントに絵を描いたり工作をしたり学習に対して反発する態度が目立ってきました。
先生が本人に訳を聞くと「勉強が分からなくて苦しい」と泣きながらの訴えがあったりと本人にとって通常学級が過酷な環境でした。
そこで年間4.5回の面接を経て学校側から提案を受け、3年生11月に「特別支援学級入級願」を学校へ申請。県教育委員会で審議後、4年生から転籍が決まりました。
息子のケースの場合、特別支援学級への転籍のきっかけは学習障害理由によるものが強かったと思います。
特別支援学級の生徒数
息子の通っている小学校の特別支援学級は、「知的障害に対応するクラス」と「情緒障害に対応するクラス」に分かれており「知的障害に対応するクラス」に在籍中。
特別支援学級は各クラスに2名ずつ、合計4名在籍中。
各クラス担任が1名ずつ配置。
息子の場合、3年生の子と一緒に日常行動しています。
学習方法
算数、国語、理科、社会はクラス担任の先生がそれぞれの生徒に合わせて個別に指導してくれます。
ただし生徒ごとに課題が異なる為、最初にそれぞれの課題をあげて片方の生徒が問題に取り組んでいる間、別の生徒に勉強を教える形を繰り返す指導方法になります。
息子の学習レベルは2年生初期が現状のようなので、転籍当初に1~3年生の国語と算数の教科書やドリルを持ってくるように言われました。
その他の体育や音楽等は4年生の通常学級の生徒たちと一緒に通常学級の先生から授業を受けています。その間、特別支援学級の先生は片方の生徒に個別指導をしたり、情緒的に不安な生徒であれば通常学級にも付き添ってサポートしてくれます。
息子の場合、体育、音楽、外国語の授業に関しては単独で通常学級に行って授業を受けているようです。
特別支援学級のメリットとデメリット
メリット1.個人の能力に合った学習指導が受けられる
前述したように、通常学級にはない過去の教科書を復習してくれます。
メモ
算数セット等過去の教材を使用する事がありますので、検討されている御家庭はもう使わないなと思って捨てたり、クローゼットの奥深くにしまわないように。
メリット2.ペースは個人のやる気や体力に合わせて調整してくれる。
授業が理解できる分、頭を酷使するようで昼休みを過ぎると精神的にクタクタに。
その分午後は、気分的にだらけてしまう傾向にあるようで、隣の支援学級でふれあい学習をしたり等体を動かすような授業を調整してくれています。
浮き沈みが激しい息子にとっては、この配慮は助かります。
メリット3.「生たん」学習がある。
特別支援学級の授業には普通学級に無い「生活単元学習」という科目が追加されます。
生活単元学習は,児童生徒が生活上の目標を達成したり,課題を解決したりするために,一連の活動を組織的・体系的に経験することによって,自立や社会参加のために必要な事柄を実際的・総合的に学習するものである。
文部科学省「特別支援学校学習指導要領解説」より抜粋
簡単に言うと、将来的に自立していく上で必要な事を指導してくれます。
息子の学校の場合は、1日に1時間「生たん」授業が組み込まれてます。
具体的な現在の活動は、
季節の変化や自然の観察
校外学習を通した施設の利用
調理学習
野菜の栽培
等があり、現在は学校の一区画に畑を作って、野菜の種を植えて育てています。
お金の使い方も教えて欲しいですね。
メリット4.毎日日記を書かせる。
授業の初めに今日の予定や給食の献立を書かせます。
また最後には今日の出来事や明日持ってくるものを書かせます。
文字を書く能力が育つだけでなく、忘れ物の確認や今日の出来事が子供と共有出来ます。
子供とのコミュニケーションの一助になってますね。
デメリット1.普通学級の能力差が見えなくなる。
普通学級の学習進捗が転籍前より分からなくなります。
以前から懸念してましたが、本人が辛いという環境にそのまま置いておくよりは自分のペースで学習出来る環境を選びました。
デメリット2.普通学級の生徒と疎遠がちに。
現状は、給食や休み時間は普通学級を行ったり来たり、放課後も普通学級の生徒達と遊んでいます。
息子がどの程度理解しているかは分かりませんが、小学校高学年や年齢が進むにつれて自分の状況を考えた時立ち止まらないようにサポートする必要があります。
息子と触れ合っている普通学級の生徒達の理解にも配慮が必要ですね。
その為にも、日頃のコミュニケーションが大事になってきます。
デメリット3.行事が多くなる。
特別支援学級に在籍すると、普通学級で行う行事に加えて「市特別支援教育研究会主催」の運動会や文化祭の行事が増えます。
本人が楽しめる場であれば当然メリットになりますが、共働きの御家庭にとっては休みの調整等苦慮する事があるかもしれません。
まとめ
発達障害が認知され始め、特別教育を必要とする子供たちが今後増えていく事が予想されます。
実際に特別支援学級に転籍した事で、学習能力のベースアップだけでなく、息子がやりがいを感じそうな多くのメリットがありました。
その反面、普通学級の生徒との疎外感は以前より強くなる等デメリットも当然残ります。
そのデメリットを払拭する上で一番大事な事は、子供のやる気が継続出来るように親が日頃のコミュニケーションを心掛け、時には共感したりほめたりする事だと思います。
本人は中学生からは普通学級を望んでいます。
この3年間特別支援学級で過ごす事で、子供がどれ程成長するのか楽しみに見守っていきたいですね。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。