皆さんは、もし自分やお子さんが「発達障害」と診断された場合、治る障害だと思いますか?
「発達障害」自体が聞きなれない言葉かもしれません。
誰しもが持っている生まれつきの個性。
その生まれつきの個性の歯車が生活社会の中で噛み合わなくなった状態になると「生きにくさ」を感じます。
タイトルにあったように発達障害は「生きにくさ」を感じ、その「生きにくさ」が医師に認められた時点で診断されます。
「発達障害」は病気ではありませんので、当然薬で治るものでもありません。
ポイント
個性を持つ事と障害を持つ事は表裏一体
上述した内容は、最近私が受講してきた発達障害の基礎講座で学びました。
1時間という短時間ではありましたが、学ぶべき内容が沢山あって有意義な時間でした。
今回の記事では、この基礎講座について自分なりに学んだ内容を展開出来ればと思います。
「発達障害」に興味がある方や自分のお子さんについて悩んでいる御家庭に少しでも参考になって頂けたら幸いです。
目次
発達障害とは…
厚生労働省によると、
発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。
厚生労働省HP「みんなのメンタルヘルス総合サイト」から引用
段階的に説明すると、
①生まれつきの脳の働きによる能力特性を誰しもが持っている。
↓
②能力特性が強い場合、生きにくさを伴う時がある。
↓
③生きにくさを補うためには工夫が必要になる。
↓
④その工夫が上手くいく場合は、「個性」になる。これは発達障害ではありません。
その工夫が上手くいかない場合は、「発達障害」になります。
さまざまな工夫や支援をする為に、医師の「発達障害」と呼ばれる診断が必要になってきます。
言い換えると、
ポイント
「発達障害」と診断されれば、さまざまな工夫や支援を受ける事が出来ます。
以下も支援の一種ですね。
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我が家の長男のケース
②学校生活の生きにくさ
1.運動会の時に使用するピストル音に怯える。
2.風船の割れる音に耳を塞ぐ。
1.2.は「聴覚過敏」に該当
加えて、
3.「読み」「書き」「計算」の学習が苦手で授業に付いていけなくなる。
3.は限局性学習症に該当
長男の場合は3.の特性が強くなり、3年生後半の授業中は聞く耳持たずの絵描きに没頭しがちになりました。
最終的に、「授業が辛い」と泣きながらの訴えが「生きにくさ」を本人が痛感した瞬間だったかもしれません。
過去記事でも触れていますので、参考にご覧ください。
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③学校生活の生きにくさを工夫
かかりつけ医より自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)の診断が付きました。
②-1:ピストルから電子ホイッスルに変わった。
②-3:1年生から通級指導教室に通ってはいましたが、4年生から特別指導教室へ
④「個性」か「障害」か?
現時点では「障害」
但し、「発達障害」の診断を受けたきっかけによって周囲の協力の元、「個性」を伸ばす為の様々な工夫が施されています。
発達障害の分類
多くは4障害に分類されます。
- 知的能力障害(知的発達症)
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 限局性学習症(SLD=LD)
自閉スペクトラム症(ASD)の特性
言葉の使い方と状況判断が苦手である為、人間関係と集団生活で困る事が多く、学校や職場に適応しにくくなります。
例えば、
・ちょっと待ってて
・早く宿題やって
・適当に書いて
普通の人だと、言われても違和感なく行動に移せるでしょう。
しかしASDの場合は、「ちょっと」「早く」「適当に」等のあいまい言葉が通じません。
・ちょっとってどの位?
・早くって何分?
・適当にってどうやるの?
ASDを持つ人はさまざまな疑問が生まれ、行動が止まります。
ASDの支援としては
メモ
1.あいまい言葉は避け、簡潔に伝える。
2.出来る限り目で分かるように伝える。
注意欠如・多動症(ADHD)の特性
「不注意」「多動性」「衝動性」から来る、わかっているのについやってしまい後悔を重ねてしまいます。
その失敗の積み重ねで自尊心が低下し、学校や職場に適応しにくくなります。
例えば、
「先生の話を聞いて下さい。」
と注目を促された際に、視界に色々な物が入っているとその物に注意が分散される為、結果話が聞けなくなります。
ADHDの支援としては
メモ
1.必要最低限の情報で済む状況・環境作りをする。
2.褒め続けて自信を持たせる。
限局性学習症(SLD)の特性
文字通り、限られた一部の学習が苦手です。
普通に出来る内容もある為、理解されない場合はそのレベルまで要求されます。
「何でこんな事が出来ないんだ」と叱られ、自尊心が低下し学校や職場に適応しにくくなります。
SLDの支援としては
メモ
1.恥ずかしがらず、特性を周りに理解してもらう事
2.障害を理解してもらえる環境作り
発達障害と二次障害
「発達障害」をもった場合、二次障害に注意する必要があります。
二次障害とは、うつ病やPTSD(外傷後ストレス障害)等です。
生まれつきの生きにくさを持った子供は
・頑張っても頑張っても怒られ続けることが多い。
・学校や職場に入って頑張っても頑張っても仲間に入れない事が多い。
・家庭でも「育てづらさ」を感じ、しつけが虐待に至ってしまう。
・特性がうすいほど障害に気づかれにくく、原因をその人の努力不足や態度の悪さと思われてしまうことが多い。
この4点のいづれかに該当する場合は、本人の自尊心の低下や劣等感が肥大し二次障害が新たに生まれます。
メモ
生きにくさをもった子供に対しては、さまざまな周囲からの理解の元で協力や工夫、親のサポートが必須となります。
理解、協力、工夫を得る為には、「発達障害」の診断が有効になります。
講座の中で、何冊か本も紹介してくれました。
左:「子ども虐待という第四の発達障害」 杉山 登志郎著
右:「ケーキの切れない非行少年たち」 宮田 幸治著
「ケーキの切れない非行少年たち」はベストセラーになり続編が出ているようです。
「どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―」 宮田 幸治著
私も機会があれば一読して、このブログでご紹介できればと思います。
まとめ
この講座の最後に、
「発達障害という概念は、支援するためのツールに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもない」
という事をおっしゃっていました。
病院に通院している以上はこの障害は生まれ持った病気なんだ、病気を治すために病院に行っているんだと思いがちになっていた私にとっては目から鱗でした。
はてな
自分の子供の生活を見た時に、子供が生活や社会の中で「生きにくさ」を感じている事はありませんか?
「発達障害」は周りの理解や協力、支援を受ける為のツールなんだと考え方を置き換える事で違った見方になると思います。
決して恥ずかしい事ではありません。
この記事を読んで、思い当たる方はぜひ次の行動に移すきっかけになってくれたら嬉しいです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。